現在、建物の解体作業をする際に「アスベスト調査」を義務付けされていることはご存じでしょうか?
解体業者であれば、工事進行のためアスベストを取り扱うための有資格者が社内に在籍していて珍しくはないことかと思います。
ただ、どの様にこの資格を取得するのか知らない人がいて、そもそもアスベスト自体を良く知らずにこの業界に飛び込み、現場で慌ててしまう人もいると聞きます。
もし、解体工事現場で「アスベスト調査」が必要になった場合は、どのような資格があれば、役に立つのかについて解説します。
ただ、どの様にこの資格を取得するのか知らない人がいて、そもそもアスベスト自体を良く知らずにこの業界に飛び込み、現場で慌ててしまう人もいると聞きます。
もし、解体工事現場で「アスベスト調査」が必要になった場合は、どのような資格があれば、役に立つのかについて解説します。
1.そもそもアスベストは何者か?
アスベスト(石綿)は、天然に産出する繊維状鉱物で、耐熱性・耐摩耗性・絶縁性・耐薬品性などに優れているため、20世紀の長い期間、建築資材や工業製品で幅広く利用されました。
日本でもアスベストは北海道や福島などで産出していましたが、量が少なく、実際に建材に使われたのは多くは、カナダから輸入されたものです。
ただし、現在では健康被害(中皮腫、肺がん、石綿肺など)の危険性が科学的に明らかになり、国内では2006年以降、ほぼ全面的に製造・使用が禁止されています。
2.解体建物にアスベストが出てくる理由
1)耐火性・耐熱性・防音・断熱など、住居用建物には「万能素材」であった鉄骨造の建物では、火災時に鉄骨が熱で変形して倒壊する危険があります。ただアスベストは不燃性で、1,000℃以上でも燃えにくいため、鉄骨への吹き付け材として重宝されました。またアパートやビルの壁・天井の仕上げ材に混ぜ込むことで、冷暖房効率を上げたり、遮音性を高めたりできました。
2)安価で大量に供給できた1960〜80年代、日本では高度経済成長で建設ラッシュが起き、安くて性能の高い建材として、アスベストが大量に使われました。ちょうど今、その年代の建物が 老朽化して解体時期を迎えているため、現場で多く見つかるのです。
3)建物の「目に見えない部分」に多用されているアスベストは鉄骨の耐火被覆、天井裏の断熱材、配管の保温材、床材の接着剤など、普段は隠れている部分に使われています。解体するときにはじめて露出するため、「思った以上に多い」と感じやすいのです。
4)使用禁止が比較的遅かった「万能素材」と建設業界ではもてはやされましたが、世界では1970年代からアスベストの発がん性を指摘され始め、日本では2006年に全面禁止となりました。つまり、2006年以前に建てられた建物にはどの年代であってもアスベストが含まれている可能性があります。
まとめると、解体現場でアスベストがでてくる頻度が高いのは、・過去に大量に使われた時代の建物が、今ちょうど寿命を迎えている・隠れていた建材が解体で一気に露出するという2つの要因が大きいからです。
3.アスベスト検査・調査に必要な資格とは?
アスベスト調査を自社で行いたい場合、有資格者が在籍しているほうが断然有利です。具体的には3つの資格に分かれます。
1) 建築物石綿含有建材調査者建築物の解体・改修工事前の「事前調査」は、2022年4月1日から調査結果の報告が義務化され、2023年10月1日からは、この資格を持つ者が行うことが義務化されました。
まず工事の元請事業者は、石綿(アスベスト)含有建材の有無を調査し、その結果を労働基準監督署や地方公共団体に報告する必要があります。調査方法は、建物の図面・仕上表や現場を確認し、「アスベストが使われている可能性があるか」を調べます。
万が一この資格を持っていない人が調査をしても、法律上は無効となり、工事の発注者や施工業者も罰則を受ける可能性があります。
この資格を取得するには、国が登録した機関が実施する数日間の講習を受け、修了試験に合格することで取得できます。また、2023年からは、建材の分析精度を担保するために 「第一種」(建築物全般)「第二種」(主に木造の一戸建て、共同住宅など) の区分も導入されました。
受験資格は、建築関係業界に在籍している経歴年数など条件がありますが、一番シンプルなのは、先に「石綿作業主任者技能講習修了者」となったあと、「建築物石綿含有建材調査者」の受験をすることです。この「石綿作業主任者技能講習」は、18歳以上であればだれでも受けることができ、2日間の講習後の試験に合格すれば、受験資格が得られます。
2) 石綿作業主任者実際にアスベストを取り扱う作業現場で必要な資格で、「除去作業」をする際に現場の安全管理・労働者の保護を指導する責任者です。この資格は、労働安全衛生法に基づき、講習を受けて修了すれば取得できます。
3)分析系資格(検体検査用)実際に採取したサンプルを顕微鏡などでアスベストが含まれているかを分析する資格です。例として、一般社団法人 JATI協会認定の「アスベスト診断士」、民間法人が認定する「石綿作業主任者技能講習修了者」が現場で採取したサンプルを分析する任務です。
4.建築物石綿含有建材調査者と石綿作業主任者は、解体現場でどのような対応をするのか?
実際にどのような工程があるのかチャートでまとめてみました。
【解体・改修工事の計画】
建築物石綿含有建材調査者
・図面確認、現場での目視調査
・必要に応じサンプリング
・調査結果の取りまとめと
「事前調査結果報告書」の作成
・建築物石綿含有建材調査結果の電子システム
(石綿事前調査結果報告システム)への報告
・分析結果まとめ、報告

(調査結果を工事計画へ反映)
【石綿含有がある場合】

石綿作業主任者
・除去工事の作業計画確認
・養生、負圧装置設置管理
・作業員の保護具確認
・現場の安全指揮・監督

【除去工事実施 → 完了確認 → 解体・改修工事へ】
まとめ
簡単にどのような資格が必要かを取り上げてみましたが、
アスベスト調査のための資格は、解体業者であれば、工事責任者でなくても
取得することができるので、工事に携わるスタッフが進んで資格を取得することで、
解体工事の知識をより高めることが、円滑な工事をすすめていくことではないかと思います。
(参考)建設業労働災害防止協会 (https://www.kensaibou.or.jp
)

